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なお、来日外国人に関しては、来日し出国していくという性質のため年間の延べ人数でしか統計に出てこないので検挙人数に対する分母の人口を正しく定義することが難しいので今回は見送り、在日外国人のみを対象としました。
先のエントリーで用いた資料には日本人の刑法犯検挙人員のデータも含まれています。あとは日本人と在日外国人の人口を調べたら率が出せて比較することができます。在日外国人の人口は「在留外国人統計」で調べることができます。日本人の人口は「国勢調査結果による補間補正人口」や「戸籍統計 統計表」などで調べることができますが、それぞれ5年毎で補間した数だったり戸籍と住民登録とそれぞれ数が異なったりします。結局、「令和5年の刑法犯に関する統計資料」や「平成26,27年の犯罪情勢」の中に10万人あたりの数値があったので、それから人口を逆算した値を採用しました。いづれの数値を採用しても0.01ポイント程度の誤差にしかなりませんので、これでよしとしましょう。
上の表が、その結果です。
まずこの表の「日本人」の数字が旧エントリーの数字と一部異なりますが、これは日本人の率を計算する時に以前は分母を総人口で計算していましたが、今回はより正確を期するために分母を日本人の人口(総人口-在日外国人人口)に改めたためです。また以前はロシアがあったのに今回は無くなり代わりにネパール・スリランカが出現しています。これは二つの統計資料を合わせた結果で、それぞれ「平成17年から平成27年までの間に検挙人員200人以上の年のある国・地域を抽出」「平成26年から令和5年までの間に、検挙人員150人以上の年がある国・地域を抽出」となっているためです。
やはり数字の羅列だけだと傾向がつかみにくいのでグラフにしてみましょう。
このグラフは日本人と在日外国人の刑法犯検挙率(検挙人員と人口の比)の年毎のトレンドを示しています。おおむね右下がりの傾向で犯罪率が下がって行っています。あからさまに日本人と在日外国人との間に差があるような感じではありません。
次は在日外国人を国籍別にばらしたグラフになります。
右下がり傾向にある日本人のプロットと比較してみると、韓国・朝鮮人の検挙率が常に群を抜いて高い水準にあることが分ります。次いでペルー人の多さが目立っています。これらに加えて直近ではアメリカ人とブラジル人が日本人より高い検挙率になっています。意外なのはベトナム人が急激な減少傾向で、先のエントリーで見た来日ベトナム人の検挙人員数の上昇傾向と対照的です。これは、長期在留するベトナム人と短期来日するベトナム人とでは傾向が異なるということを示しています。それから、中国人とフィリピン人が安定して日本人よりも低い水準で推移しており、2014年から出現してきたスリランカ人とネパール人も相当低い検挙率です。
以上の結果から、韓国・朝鮮人とペルー人を除き、総じて在日外国人の刑法犯検挙率は現時点(2023年)では日本人と変らない水準と言えるでしょう。
このエントリーの最後に改めて在日外国人の国籍別人口とその比率を見てみましょう。
旧エントリーの時点では2015年に在日外国人人口は約220万人でしたが、一時コロナの影響で減少しましたが今回の2023年には約340万人まで増加しています。
ぱっと見ではベトナム人の人口増加が目立っています。他にもミャンマー人も人口が増えているようです。
次は在日外国人の国籍別の人口比率のグラフです。直近ではベトナム人の比率が韓国・朝鮮人の比率を上回っています。それでも上位6位くらいまでの合計比率が年々減少しているということはその他の色々な国の人が増えてきて国籍の多様化が進んできている事が伺えます。
使用した資料
令和5年の刑法犯に関する統計資料 (PDF注意)
平成26,27年の犯罪情勢 (PDF注意)
【在留外国人統計(旧登録外国人統計)統計表】
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