その記事の元のデータは総務省の発行した「平成28年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」から取ったもので、そこの「別添2 平成28年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書 概要(PDF)」の4ページ目から数字を拾って表にしてみたのが以下です。
世代 | テレビ(分) | 行為者率 | ネット(分) | 行為者率 |
10代 | 89.0 | 69.3% | 130.2 | 78.9% |
20代 | 112.8 | 70.3% | 155.9 | 92.6% |
30代 | 147.5 | 79.8% | 115.3 | 88.4% |
40代 | 160.5 | 86.4% | 97.7 | 78.4% |
50代 | 180.6 | 86.9% | 85.5 | 68.5% |
60代 | 259.2 | 92.2% | 46.6 | 41.7% |
これをグラフにすると、
こうなります。当然ながら、先の記事のグラフと全く同じものになります。
これだけを眺めると確かに若い世代ほどテレビを見る時間が短くてインターネットを利用している時間が長いという傾向は分かります。これは多くの人が何となくそうなんだろうなという事と一致していると思います。ただそれが分かっただけだと面白くないので、テレビとインターネットの両方の利用時間を積み上げてみました。以下がそのグラフです。
このグラフを見ると、20代から50代のテレビとインターネット利用時間はほぼ同じで、10代がそれより少なく、逆に60代は増えているということが分かります。でも、実はこのグラフはあくまでもそれぞれの世代の利用者だけの時間集計なので、それぞれの年代全体の平均利用時間を示している訳ではないのです。最初の表に「行為者率」という数字がありますが、これは同じ年代でテレビまたはインターネットを利用した人の率です。つまり一日平均利用時間というのはテレビを見ない人やインターネットを使わない人の分は計算に入っていないのです。例えば60代はインターネットを約47分利用していますが、その利用している人の数は60代全体の半分以下の約42%です。つまり60代全体として見た時の平均利用時間は47分よりももっと少なくなります。この補正(利用時間×行為者率)をして描き直したグラフが以下になります。
このグラフで顕著に分かることは、一日にテレビやインターネットに費やせる時間が、
- 20~50代は約3時間40分弱でほぼ一定。
- 10代は他の年代と比べて少ない。
- 60代は他の年代と比べて多い。
10代が少ないのは恐らく勉強の時間など他にすることが沢山あるからでしょう。60代はリタイアなどで自由時間が増えているのでしょうね。しかもテレビの利用時間分だけで他の世代のテレビとインターネットを合わせた利用時間分よりも多くなっていて、インターネット利用時間がごくわずかということが特徴的です。
普通に働いて生活している20~50代の人にとって、一日は24時間で決まっているし、その中でテレビやインターネットに使える時間は決まってしまっている、インターネットを使いたければテレビを見る時間を減らさざるを得ないし、若い人ほどテレビよりもインターネットを使う方を選んでやり繰りいる、という構図が見えます。つまり、テレビとインターネットは同じパイを取り合って争っているという訳です。それにしても60代(とその上の世代?)は他の世代と一線を画した異質なインターネットの恩恵を受けない、あるいはインターネットを拒否している世代のように見えます。私も60代にもうすぐな世代なのですが、一体10年後はどうなっているんでしょうね?
「年代別テレビ・インターネットの1日平均利用時間」への2件の返信
60代が異質に見えるのは定年後で仕事する時間が減ってる分、TVを見る時間が長いからだと思います。
そしてネットでアクティブに何かを見るのもそれより若い世代に比して少ないんだと思います。
もし60から65と65から70の区切りで比較してみたら、その差が出ると思います。
あるいは同じ60歳の方でも定年が65歳なのでまだ就業中の方と既に定年になってる方の比較が出来たら良く分かると思います。
コメントありがとうございます。おっしゃるとおり、私のエントリーの中でも「60代はリタイアなどで自由時間が増えているのでしょうね。」と指摘しているように今までの生活パターンが変化する世代にあたるからでしょうね。ただ、65歳前後で区切ってみてハッキリと差がでるかどうかは分からないですね。今は働き方が多様化してますし、リタイアのタイミングも多様化してますから。私はむしろ全年代を俯瞰してみたくなって、次のエントリーで60代を超えた世代のデータを外挿してみました。割と面白いデータになったと思っています。