ThinkPadは死んだのかもしれない(私の中では)(その2)

写りこみが激しい

アダプティブキーボードの本当に駄目な所

巷のレビュー記事とかで「使いにくい」と評されているアダプティブキーボード。普通のキーと違ってタッチしてもクリック感等の指へのフィードバックがないのでなかなか馴染めないのは確かにそう。でも、この半年ほど使ってみて感じたアダプティブキーボードの本当に駄目な所は、「何も考えずに作った」という点だと思う。きつい書き方かもしれないけれども、これが良く考えられているなという場面は一度として無かったし、むしろ本当に「何も考えずにこれに決めただろ」と思うシーンばかり。

ミュートキーの位置は考えたのか?

これはタッチだとかの問題ではなく、純粋なキー配列の問題。こいつのキー配列はこんな感じ。

くそったれな音量調節キー配置

左の「ー」が音量小、右の「+」が音量大、そして中央のスピーカー印がミュート(消音)。

一体どういう考えでこの配置になったのか開発担当者にじっくり話を聞いてみたいものだ。一度でもこのキー配列が使いやすいかどうかを検討してみたことがあるのだろうか?

この配列の悪い所は「音を消す」という場面と、「音量調節」という場面がそもそも違う事象なのにそれらを「混ぜた」という点。ただでさえ指探りでは位置がつかめないタッチパネルで音の上げ下げのキーを触るのに真ん中にミュートがあったら間違って触る可能性が高い。ミュートキー(の位置)に触れないように正しく+かーのど真ん中狙ってタッチしないといけない。これは非常に使いにくい。ミュートしたい時はもっと悪い状況になる。ミュートしようと思っても一発でミュートしにくい。ミュートキー自体はトグル動作なので二度押すとまた音が出る。両側のキーに触れてもやはり音が出る。音を消そうとして焦れば焦るほど音が出るようになっている。

キー配列は無意味に決まってきた訳ではない

他のパソコンだとこのキー配列はどうなっているのか調べてみた。調べた機種は単に身近にあったものを撮影してみただけで他意はありません。

YOGA2これは同じレノボのYOGA2の配置。ミュートが一番左に配置されていて、その右隣に音量小と大のキーになっていてちゃんと機能別になっている。

X201sこれもレノボのX201sの配置。YOGA2と同じで機能別に並んでいる。

TOSHIBAこれは東芝のSattelitte 13.3″。ちょっと分かりにくいがFnキー併用でミュートがescキーに、音量調節が数字の3と4に割り当ててあってFnキー併用とは言えミュートしやすいように工夫されている。

DELLこれはDELLのちょっと古い機種。ミュートが音量調節の右側に配置されているのがちょっと変わっているけど、機能で分けられていることには違いは無い。慌ててミュートしようとして電源スイッチを誤爆しても目的は達成できるだろうからこれはこれで良く考えた結果なのかもしれない。しかも、手探りでも区別がつくようにふたつの音量調節ボタンの間に凹みが設けてある。素晴らしい設計。

APPLEかなーり古いMacBookProの配置で他の機種同様にミュートは独立している。今時のMacBookもこんな感じの独立配置になってます。

くそったれな音量調節キー配置

そして、改めてまたこのアダプティブキーボードの配列を見てみると、いかにこの配列が異端なのか分かるでしょう。あえて何故この配列にした?私には分かるような気がする。それは、「単に見た目が良い」から。音量調節の右側に輝度調節のキーが見えるけど、この「ー」と「+」の並び方と統一感を出したかったという理由だけで配置を決めたんだと思う。ひょっとしたら最初に描かれたコンセプト画か何かをそのまま何も考えずに採用しただけなのかもしれない。いづれにしてもユーザーの使い勝手という観点で何も考えなかった結果、この配置に決定されたのは確かだろう。ちなみに輝度調節中央の太陽マークそのものには何も機能は割り当てられていない。単に見た目が輝度調節だということを示しているだけ。

「これは確かにいいものだぞ!」

こいう記事がある。(赤い部分は私が色を付けた。)

いかにして生き残れるモノ=変化できるモノになったのか
“地道さ”が生んだ新しいThinkPad X1 Carbonの“新しさ”

—— なるほど。そもそもAdaptiveキーボードって、どのチームが考えたコンセプトなのでしょう?
X1「ユーザーエクスペリエンスのチームですね」
—— 設計の立場として、Adaptiveキーボードのコンセプトを初めて知らされたとき、率直にどう感じましたか?
X2「……言っても大丈夫ですかね?」
X1「個人の見解としてね(笑)」
X2「初めは『え……』と思いました
一同「(笑)」
X2「しかしコンセプトを深く知ると同時に、これは確かにいいものだぞ! とも思いました。使ってみるとかなり便利ですし」

言いだしっぺは「ユーザーエクスペリエンスのチーム」らしい。「初めは『え……』と思いました」という人も「使ってみるとかなり便利ですし」と考えを変えたらしい。

でも、この中の誰一人として音量調節キーの配置を真剣に考えていた人はいなかったんだということはまず間違いないよね。

最初に『え……』と思ったなら、その感性をもっと大事にして欲しい。

(多分もうちょっと続く)

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