ポンプの取り外し
上の左側の写真はポンプを取り外す前に写真を撮るのを忘れたので2007年当時の写真を引っ張り出してきています。右側のはポンプを取り外したところです。ポンプの土台は砂地にレンガを置いた上に載せてあるだけでした。この場所は周りより低めなので雨の日は水が流れ込んできたりしてジメジメしています。物置代わりにもしているので結構汚いです。何か葉っぱも生えてきています。(笑
これが取り出したポンプで右側の黒い部分がモーターです。カバーを外して軸を手で回すとゴリゴリとした感触があります。やはりベアリングがいかれてきています。モーターをポンプから取り外そうと思いましたが4本あるネジのうちの一本がかなり錆付いていてどうしても緩みません。それにポンプには銘板が付いていないので規格がわかりません。モーター部分だけ交換できないかと思いましたがとりあえずこの状態でプール屋に持って行って何ができるかアドバイスしてもらうことにしました。
ポンプを求めて
お隣さんのJoseさんに声をかけてプール屋に付き合ってもらうことにしました。プール屋で店の人をつかまえて車のトランクを開けてこのポンプを見せたら、「どうしてもモーターだけ交換したいなら修理扱いで見積もりはできるけどそんなに安くならないよ。自分だったらポンプごと交換するね。」と言われて店のお勧めのポンプを見てみました。「普通のこのサイズのポンプなら700ん十ドルであるけど、お勧めは回転数が制御できるこのポンプだね。すごく省電力なので1年で1,000ドルくらい節約できるからすぐに元が取れるよ。今なら150ドルのリベートが出るしお得だよ。」と見せてくれたのが1,300ドルちょっとのお高いポンプ。展示品で実際に動いてるところを見せてもらったら低回転の音がとても静か。でも今までそんなにポンプの電気代がかかっていたかなとか、いくらなんでもそんなに節電できないでしょ、とかその場は話半分に聞いてカタログだけもらって店を後にしました。
お隣さんのJoseさん曰く、「Bunningsとかでもっと安いポンプを売ってるからそっちの方が絶対にいいよ」ということでBunningsにも見に行きました。行くとやっぱり安いものは200ドルくらいから400ドル超えるものまで色々あります。その場でよさげなのが300ドル弱であったりして思わず手を出しそうになったのですが、さっきの省電力タイプのがちょっと気になっていたので値段だけしっかり確認してその日は何も買わずに帰りました。Joseさん、ありがとう。
土台を作ろう
ともあれポンプは買い換えることにして、今の汚い設置場所をなんとかしようとまず掃除してみました。
ポンプの台になっていたレンガを取り除きその下の砂を全部さらえてみたところが上の写真です。かろうじて底はコンクリートみたいですが端っこは土が出ていて雨が降るとここに全部水がしみ込んでぐちゃぐちゃになってしまう感じです。実際、古いポンプの台座の鉄板が湿気で錆びてボロボロになっていたのでここは思い切って全部コンクリで固めて周りより高い水はけの良い土台を作ることにしました。
さっさくBunningsでコンクリートミックスを何袋か買ってきて、低いところから適当に部分部分に分けて型組みしながら土台を作っていきました。フィルターのタンクには砂と水が入っていて簡単には持ち上げることができないのでそこだけ避けて最終的にはポンプ室全床をモルタル仕上げで高台にしました。これでフィルター周りからの水漏れでもない限り水はけは良くなったでしょう。
意外とありそうな省エネ効果
それと平行して気になった省電力ポンプについて調べてみました。ポンプのモーターの回転数を下げると静かになるし省電力になるけど、その分水量が減るので長時間ポンプを回すことになるので結局は消費電力は同じになるんだろうと最初は思っていました。しかしちょっと調べてみると、確かにモーターでベルトコンベアのようなものを動かしている場合ならばそのとおりなのですが、水などの液体をポンプで送る場合には流速の三乗に比例するエネルギーが必要になるそうなのです。つまり、ポンプのモーターの回転数を半分にすると流量は半分になり消費電力は半分の三乗で12.5%にまで減ります。半分に減った総流量を2倍の時間回すことでカバーすると、結局二分の一の二乗で25%まで消費電力が減る計算になります。つまり総流量を一定にする条件の下で消費電力は回転数の二乗に比例することになります。プール屋お勧めの省電力ポンプはViron P320 eVo Pumpというもので、そのポンプの会社のサイトにどれだけ電気代を節約できるか計算できるツールのページがあったのでこれを使って色々計算してみました。
今まで使っていたポンプは詳細不明ですが、多分600~800Wくらい。電気代は現在1KWhにつき26.73セント。夏季の5ヶ月間は毎日8時間、それ以外は毎日6時間ポンプを回すとして、大体年間で400~500ドルの電気代がかかります。それに対して夏冬通じて30%の回転数で毎日10時間ポンプを回すと仮定すると、何と年間で33ドルしかかからないのです。なぜ30%かというと、それで10時間分の流量があれば一日で約1.8回プールの水が入れ替わる計算になるからです。プールの水は1日におおよそ2回程度の回転率でフィルター循環させると良いということらしいのでやや少なめですが節約優先してこれで計算してみました。結局、家のプールでは年間1,000ドルの節約は無理にしても、おおむね400ドルくらいはまず間違いなく節約できそうだということが分かりました。
上のグラフはポンプメーカーの計算ツールを使って家の条件で計算したポンプの回転数に応じて変わる年間の電気代の様子を表しています。赤黄緑の点はポンプの標準設定のHi(2,850 rpm)/Mid(2,000 rpm)/Lo(1,375 rpm)の回転数を示し、青の点は試算した30%の回転数(900rpm)に相当します。赤線は従来のポンプの電力コストです。つまり省電力ポンプでもMidやHiの回転数でまわし続けると逆に電気代が余分にかかります。右側のグラフは両対数に目盛を変えたもので、回転数が10倍変化すると電気代は1,000倍(10の3乗)変化していてエネルギーが回転数の三乗に比例しているということがよく分かります。
ポンプの交換
土台がおおむね出来上がった時点でプール屋にポンプを注文し、先日取り付け作業がありました。作業しに来た人に、「今までの中で一番きれいで完璧な取り付け場所だ!」と褒められました。苦労が報われた一瞬です。(笑
実際の効果は?
さて、実際の省電力の効果はどうだったでしょうか?電気のメーターの読みを時々記録しているのでそれとポンプ交換後の何日かのメーター読みで消費電力を比較してみました。
グラフは「1日当たりの電力量」を示します。Tariff 11は一般電力(26.73セント/KWh)でTariff 33はHot Water Tankなどの夜間割引電力(18.052セント/KWh)です。プールのポンプはTariff 11に含まれます。2月5日あたりから前のポンプは完全に止めてあり、2月10日から交換後のポンプになります。おおむね今まで15KWhの電力量だったのが10KWhに減っているのが分かります。1日5KWh減ったことになります。365日で1,825KWh、金額にして487ドルの節約効果が見込めそうです。実際には冬季はもう少し電力量が減るので前の試算結果の節約効果400ドルは割と正しいとみなせるでしょう。
それから省電力ポンプと従来型ポンプの費用を比較して、前者約1,200ドルに対して後者 約300ドル。差額の900ドルは約2年強で回収できそうなことも分かりました。